【結論】公式プロフィールによると、キッチンミノルさんの祖父は東大名誉教授の井上究一郎さんです。
- おじいさまは井上究一郎さん。フランス文学の大家
- プルーストの超大作をたった一人で全部訳した人物
- ご先祖には朝鮮通信使の正使・趙曮の名前も
- 趙曮はサツマイモを朝鮮へ伝えた人として有名
- そして本人の好物は、なぜかさつまいも
- おじいさまがどのくらい大きな存在の学者なのか
- ご先祖の趙曮が歴史に残した仕事
- 「好物はさつまいも」の一行に込められたものの予想
- この家系の話をどこまで信じてよいのか
8月2日にNHK総合で放送される
「アイカタ」。
そこに出てくる写真家がキッチンミノルさんです。
名前だけ見ると
定食屋さんのようですが、
公式サイトをのぞくと空気が一変します。
プロフィール欄に、学者と歴史上の人物の名前が並んでいるのです。
【予想】あの「好物はさつまいも」は、たぶん偶然じゃない
ここからは編集部の予想です。
先に言い切ります。
プロフィール末尾の「好物はさつまいも」は、ご先祖へのウインクとして置かれていると見ています。
ただの食の好みには思えません。
そう見る手がかりを3つ。
手がかり1:ご先祖はサツマイモで歴史に残った人
プロフィールにある趙曮という人物は、
1763年から翌年にかけて日本へやってきた
第11次朝鮮通信使のトップ(正使)でした。
ところがこの人が有名になった理由は
外交の成果ではありません。
対馬でサツマイモに出会い、種いもを国へ持ち帰ったことです(Wikipedia:朝鮮通信使)。
育て方も保存法も調理法も持ち帰り、
のちの朝鮮では飢えをしのぐ作物として広がりました。
要するに「サツマイモの人」なのです。
手がかり2:この人はルーツを名前に変えてしまう
公式プロフィールには、
受賞歴や本の名前だけでなく、
おじいさま、ご先祖、生まれた州まで
ぜんぶ載っています。
2024年につくった個人出版社の名前も
「テキサスブックセラーズ」。
自分の生まれた場所がそのまま看板です。
自分の出どころを、片っ端から名前に変換していく人。
その並びに置かれた「さつまいも」を
ただの好物と読むのは、むしろ不自然です。
手がかり3:おじいさまとの縁も本の世界に出ている
井上究一郎さんは、
プルースト『失われた時を求めて』を
一人で訳し切った翻訳家です。
その訳書は筑摩書房から出ています(筑摩書房)。
そしてキッチンミノルさんの本、
『キッチンミノルの写真教室』もまた
筑摩書房から出ているのです。
おじいさまは文字で、
お孫さんは写真で、
同じ版元から本を出している。
できすぎた話だと思いませんか。
おじいさま・井上究一郎さんとはどんな方か
フランス文学をかじった人なら、
まず知らない人はいません。
| お名前 | 井上究一郎(いのうえ きゅういちろう) |
| 生まれ・没年 | 1909年9月14日 〜 1999年1月23日 |
| ご出身 | 大阪府 |
| ご職業 | フランス文学者・翻訳家・エッセイスト |
| ご学歴 | 東京帝国大学 フランス文学科 卒業 |
| ご経歴 | 東京大学教授を務め、のちに名誉教授。退官後は武蔵大学へ |
| いちばんの仕事 | 『失われた時を求めて』をひとりで全訳 |
この作品は文庫で全10巻という長さ。
それを一人でやり切ったという事実だけで、
日本のプルースト研究の第一人者と呼ばれます。
亡くなったのは1999年、89歳のとき。
お孫さんが写真家になったのが2005年ですから、
その姿は見ずに旅立たれたことになります。
ご先祖・趙曮さんと朝鮮通信使のこと
朝鮮通信使とは、
江戸時代に朝鮮王朝が日本へ送った使節団のこと。
秀吉の出兵で切れてしまった関係を
結び直すために始まりました。
その使節団のいちばん上の役職が正使。
趙曮さんは第11次(1763〜64年)でその座にいました。
そして語り継がれているのが、
さきほどのサツマイモの逸話です。
ひとりの外交官が持ち帰ったイモが、のちに多くの人の命をつないだ——。
いまも韓国側で語られる話です。
キッチンミノルさんの本名の姓がCHOである点も、
この趙という姓に重なります。
この話、どこまで本当なのか
ここは正直に書いておきます。
| 調べたこと | どこまで確認できたか |
|---|---|
| おじいさま=井上究一郎 | 公式サイトの記載のみ。第三者資料での確認は不可 |
| ご先祖=趙曮 | 同じく公式サイトの自己申告 |
| 井上究一郎さんの経歴 | 公開資料で確認できる |
| 趙曮さんのサツマイモ | 朝鮮通信使の資料で確認できる |
| 好物がさつまいも | 公式サイトに記載あり |
つまり
登場する人物が実在し、その業績も本物であることは確か。
ただし血のつながり自体はご本人の申告で、
外から確かめる手段はありません。
とはいえ、自分の公式サイトに
実在の学者や歴史上の人物を
でたらめに並べる人はいないでしょう。
信じてよい話だと考えます。
気になる点をQ&Aで
Q1. お父さま方とお母さま方、どちらのおじいさま?
公式には「祖父」としか書かれていません。ただ、お母さまが日本の方でお父さまがアメリカの方とされているので、お母さま方だろうと推測はできます。断定はできません。
Q2. 趙曮さんは結局どんな功績の人?
1763〜64年の第11次朝鮮通信使で正使を務めた外交官です。日本滞在中に対馬でサツマイモを知り、種いもと育て方を持ち帰りました。それが朝鮮で飢饉に強い作物として広まったと伝わります。
Q3. 「失われた時を求めて」って有名なんですか?
フランスの作家マルセル・プルーストの代表作で、文庫で全10巻という大長編です。20世紀の文学を代表する一作とされ、井上究一郎さんはこれを一人で訳しました。
Q4. 本人はこの家系について語っていますか?
公式サイトのプロフィールに書いているところまでです。インタビューなどで踏み込んで語った記録は見当たりませんでした。ご本人が出している以上のことは掘らないのが筋だと考えています。
Q5. 番組でこの話は出るのでしょうか?
放送前なので分かりません。「アイカタ」は相方どうしで撮り合う形式なので、経歴の紹介より人柄に寄りそうです。ここは当日を待ちましょう。
Q6. 放送日時をもう一度教えてください
2026年8月2日(日)11時20分から11時49分、NHK総合です。「アイカタ 〜大切な人の“イイところ”撮ってきてください〜」シーズン2の第2回で、7月7日放送分の再放送になります。
Q7. キッチンミノルさんはどんな本を出しているのですか?
写真をメインに据えたしゃしん絵本を中心に出しています。『たいせつなぎゅうにゅう』『マグロリレー』『ひこうきがとぶまえに』などがあり、食べものや働く現場を子ども向けに見せる作りが特徴です。大人向けには『キッチンミノルの写真教室』があります。
Q8. 写真のコンテストでの実績はありますか?
公式サイトによると、大学時代の2001年に六大学写真展で銀賞を取っています。その後もAPA公募展に2005年・2009年・2019年と入選しており、20年近く応募を続けているのが分かります。
おわりに
キッチンミノルさんの公式プロフィールには、
おじいさまとしてフランス文学者・井上究一郎さん、
ご先祖として朝鮮通信使の正使・趙曮さんの名があります。
その趙曮さんはサツマイモを朝鮮に伝えた人。
同じプロフィールの隅には
「好物はさつまいも」とあります。
おじいさまの訳書と自分の写真集が
同じ出版社から出ていることも合わせると、
プロフィール全体がひとつの謎解きのように読めてきます。
ゆるい名前の下に、
これだけの物語が畳まれている。
8月2日の放送は、
それを知ってから見るほうが断然おもしろいはずです。

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