小笠原のカタツムリはなぜ消えた?千葉聡が夏の島で見てきたものを予想

    【結論】小笠原の固有カタツムリは、外から来た1種の天敵で激減しました

    • 小笠原の在来カタツムリは106種
    • そのうち100種はここにしかいない
    • 1990年前後に天敵が侵入
    • 父島では1990年代から急減
    • 千葉聡さんはその変化を数え続けた
    • NHK短歌の放送は8月9日(日)朝6時
    この記事の要点
    • 島で起きたことを時系列で整理
    • 天敵となった外来生物の名前と性質
    • 研究者が島へ通い続けた理由の予想
    • いまも続いている対策
    • 放送日と再放送

    8月9日の「NHK短歌」で
    ゲストの千葉聡さんが挙げる「あの夏」は、
    絶海の孤島でのカタツムリ調査
    のどかに聞こえますが、
    その島では静かな絶滅が進んでいました

    目次

    【予想】記録することだけが、研究者にできる唯一のことだった

    ここからは編集部の予想です。
    言い切ってしまうと、島に通い続けた本当の理由は、いなくなる前に数えておくためだったと見ています。

    根拠1:一度失うと二度と戻らない相手だから。
    小笠原の陸産貝類は在来106種のうち100種が固有種
    他の場所には存在しないので、
    減ったぶんをどこかから連れてくることができません。
    絶滅は文字どおり取り返しがつかない
    だからこそ、いま何がどこに何匹いるのかという
    地味なデータに価値が生まれます。

    根拠2:減少のスピードが速かった。
    父島では1990年代に入ってから急激な減少が起きました。
    原因とされるのが、1990年前後に定着したとみられる
    ニューギニアヤリガタリクウズムシ
    カタツムリを食べる陸生のプラナリアです。
    東京都も侵入防止に取り組んでいます(東京都小笠原支庁)。
    数年単位で景色が変わる状況では、
    調査を止めた瞬間に記録が途切れます

    根拠3:のちの著作がその経験に立っている。
    千葉さんは2023年に『招かれた天敵』を出しました(みすず書房)。
    人間が善意で持ち込んだ天敵が
    どんな結末を招いたかを追った本です。
    小笠原で目の当たりにしたものが、
    そのまま問題意識になったと予想できます。
    島での夏は思い出であると同時に、
    研究者としての原点だったのではないでしょうか。

    ただし本人が番組でどこまで語るかは分かりません。
    ここまではあくまで予想です。

    島で何が起きたのか、時系列で

    時期できごと
    〜1980年代固有のカタツムリが島ごとに分化して生息
    1990年前後ニューギニアヤリガタリクウズムシが侵入・定着
    1990年代父島で陸産貝類が急激に減少
    2000年代分布の変化と天敵の食性を調査
    2011年小笠原諸島が世界自然遺産に登録
    現在他島への拡散防止対策が続く

    注目したいのは、世界遺産になる前から減っていた点です。
    登録によって注目は集まりましたが、
    崩れはじめたのはその20年ほど前。
    気づいたときには手遅れに近いという
    外来種問題の典型的な形をしています。

    天敵の正体

    長い名前ですが、覚えておく価値はあります。
    ニューギニアヤリガタリクウズムシ
    陸で暮らすプラナリアの仲間で、
    カタツムリを捕まえて食べます。

    • もともと小笠原にはいなかった
    • 侵入・定着は1990年前後とみられる
    • 被害が大きかったのは父島
    • いまは他の島へ移さないことが最優先

    すでに入り込んだ島から
    完全に取り除くのは難しいとされています。
    そのため対策の中心は拡散を止めること
    島を訪れる人が靴底の土を落とすといった
    地味な手順が重要になります。

    小笠原へ渡る際は、外来種を持ち込まないためのルールが定められています。訪問前に公式の案内を確認してください。

    調査そのものは、かなり地味

    「絶海の孤島」と聞くと冒険を想像しますが、
    やっていることは歩いて探して数えるの繰り返しです。

    小笠原には空港がなく、
    東京から船でおよそ24時間
    便も限られているため、
    一度島に入ると数日は戻れません。
    その間、湿った森の中で
    数ミリの殻を探し続けることになります。
    夏場は雨も虫も多く、快適とは言えない環境です。

    それでも千葉さんは島に通い、
    児童向けの著作『カタツムリ 小笠原へ』も書いています(福音館書店)。
    子ども向けに書くということは、
    次の世代へ渡したい話があるということでもあります。

    小笠原はどうして特別な島なのか

    小笠原諸島は一度も大陸と地続きになったことがない海洋島です。
    ここが最大のポイントになります。

    大陸とつながった歴史がある島なら、
    そこにいる生きものは大陸から歩いて来た子孫です。
    ところが小笠原の場合、
    海を越えてたどり着けたものしか住んでいません。
    流木にくっついたり、鳥の足に付いたりして
    偶然たどり着いたごく少数の祖先が、
    島の中で枝分かれしていきました。

    在来の陸産貝類106種
    うち固有種100種(約94%)
    成り立ち海を越えて渡った少数から分化
    世界遺産登録2011年

    固有種の割合がおよそ94%というのは、
    日本国内では飛び抜けた数字です。
    「東洋のガラパゴス」と呼ばれるのも大げさではありません。
    裏を返せば、ここが壊れたら世界のどこにも代わりがない
    外来種の侵入がこれほど深刻に扱われるのは、
    そのためです。

    よくある質問

    Q1. カタツムリの何がそんなに大事なのですか?

    移動距離が短いため、
    島や谷ごとに別々の姿へ変わっていきます
    進化のようすを比べる材料として世界的に使われており、
    小笠原はその代表的な舞台のひとつです。

    Q2. 全部絶滅してしまったのですか?

    いいえ。
    父島で急激に減ったと報告されていますが、
    島や種によって状況は異なります。
    「すべて絶滅した」という事実は確認できませんでした。

    Q3. 天敵はどこから来たのですか?

    侵入した正確な経路は特定されていません。
    1990年前後に定着したと考えられている、
    という段階までが公表されている内容です。
    推測で書くことは避けます。

    Q4. 千葉聡さんはどんな人ですか?

    1960年生まれの進化生物学者で、
    東北大学東北アジア研究センターの教授です。
    著書『歌うカタツムリ』で
    第71回毎日出版文化賞・自然科学部門を受賞しています。

    Q5. 番組ではどこまで話すのですか?

    番組情報にあるのは
    「あの夏」の思い出として調査体験が語られることまでです。
    外来種の話がどこまで出るかは
    放送を見るまで分かりません。

    Q6. 放送を見逃したら?

    再放送が8月13日(木)午後2時10分にあります。
    本放送は8月9日(日)午前6時からなので、
    早起きが苦手な方は木曜を狙うのが現実的です。

    Q7. 小笠原には飛行機で行けますか?

    行けません。
    小笠原諸島には空港がなく、
    移動手段は船のみです。
    東京・竹芝からおよそ24時間かかります。
    この行きにくさが、
    結果として島の自然を守ってきた面もあります。

    Q8. 千葉聡さんの本を読むならどれ?

    カタツムリと進化の話なら『歌うカタツムリ』
    外来種の話なら『招かれた天敵』です。
    お子さんと読むなら
    『カタツムリ 小笠原へ』という児童向けの本もあります。

    まとめ

    小笠原諸島には在来106種の陸産貝類がいて、
    そのうち100種がその島だけの固有種でした。
    1990年前後に外来のプラナリアが入り、
    父島では1990年代から急激に数を減らしています。

    千葉聡さんの「あの夏」は、
    その現場に立ち会った夏でもあったはずです。
    放送は8月9日(日)朝6時・Eテレ
    背景を知ってから聞くと、
    語られる言葉の重さが変わってきます。

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