イッスンボウシウロコムシの名前の由来は一寸法師!オス5mmの深海新種を予想

    【結論】名前の由来は昔話の「一寸法師」。オスが約5mmしかない深海の生きものです。

    • 正体はゴカイの仲間(ウロコムシ科)
    • 学名Eunoe issunboushi、2021年に発表
    • すみかはヤドカリや貝の殻の中
    • オスとメスの体長差は約4倍
    • 報告した5人のうち1人が自見直人さん
    • 登場は8月9日(日)23時30分のサイエンスZERO
    この記事の要点
    • オスが5mmで止まった理由の予想
    • 「一寸法師」という名前の付け方
    • 体長・採集地などの公表データ
    • 報告した研究チームと掲載誌
    • 放送日時とテレビでの扱い

    ニュースで「一寸法師の名前がついた新種」と聞いて、
    何のことだろうと思った人は多いはずです。
    正体は深海にいるゴカイの仲間
    オスだけが極端に小さいという、
    かなり変わった特徴を持っています。

    目次

    【予想】オスが5mmなのは「殻に収まる」ことを選んだから

    ここからは編集部の予想です。
    先に言ってしまうと、このオスは小さくなったのではなく、住める場所の大きさに体を合わせたのではないかと考えています。

    予想1:部屋のサイズが先に決まっている。
    国立極地研究所の発表では、
    この新種はヤドカリが使っている巻貝の殻や、貝類の殻から採集されたとあります(国立極地研究所)。
    海底の砂の中ではなく、
    すでにある「容れ物」の中が生活の場です。
    殻の内側は当然ながら広くありません。
    メスが約2cm入った時点で、
    残りのすき間はごくわずかになります。
    そこにもう一匹が同居するなら、
    数mmでなければ物理的に入らない
    体の大きさを決めているのは
    生きもの側の都合ではなく、
    殻という物件の間取りのほうだと予想します。

    予想2:深海ではエサが乏しく、大きい体は損になる。
    深海は太陽の光が届かず、
    植物プランクトンが育ちません。
    食べものは基本的に
    上の層から沈んでくる分だけです。
    この環境では、体が大きいほど
    維持に必要なエネルギーが増え、
    まかないきれなくなるリスクが上がります。
    繁殖という役割さえ果たせるなら、
    オスは大きい必要がない。
    むしろ小さいほうが生き延びやすい
    メスは卵を作るぶん体積が要りますが、
    オスにはその制約がありません。
    この非対称が、
    4倍もの差になって現れたと予想します。

    予想3:ウロコムシ科で初=あとから身につけた性質。
    オスが極端に小さくなる矮雄(わいゆう)は、
    ゴカイなどを含む環形動物では非常に稀で、
    ウロコムシ科では今回が初確認とされています。
    ということは、
    この性質はグループ全体が持っている標準装備ではない
    祖先から受け継いだものではなく、
    熊野灘の深海という条件のもとで
    あとから身についたと考えるのが自然です。
    殻に住むという暮らし方と、
    深海というエネルギー条件。
    この二つがそろった場所でだけ
    スイッチが入ったのではないかと予想します。

    ここまではあくまで予想です。
    発表資料には矮雄が生じた理由までは書かれておらず、
    研究として結論が出たわけではありません。
    番組で説明があるかどうかも、
    放送前の時点では分かりません。

    「一寸法師」はどこから来た名前か

    学名の種小名はissunboushi
    ローマ字でそのまま一寸法師です。
    おわんの舟と針の刀で知られる、あの昔話。

    一寸は約3cmなので、
    実際のオスはそれよりさらに小さいことになります。
    それでも名前として成立しているのは、
    小さいまま役目を果たすという
    物語の筋と重なるからでしょう。

    新種の名前は、記載した研究者が付けることになっています。正式な表記は「Eunoe issunboushi Jimi, Hookabe, Moritaki, Kimura and Imura, 2021」で、属名・種小名のあとに命名者と発表年が続きます。

    公表されている数字を並べてみる

    項目内容
    和名イッスンボウシウロコムシ
    学名Eunoe issunboushi
    メス体長 約2cm
    オス体長 約5mm
    採集地三重県沖・熊野灘の深海
    論文公開2021年3月29日
    発表2021年4月12日

    体長の差はおよそ4倍
    人間で言えば、
    身長170cmの隣に40cm台の相手がいる計算です。
    同じ種類とは思えない開きがあります。

    見つけ方は網ではなく殻の地道な選別

    採集場所が殻の中ということは、
    調査は殻をひとつずつ確認する作業になります。
    網ですくって終わり、ではありません。

    しかも相手は数mm
    顕微鏡で見なければ
    存在に気づくことすら難しいサイズです。
    共著者に鳥羽水族館の学芸員が入っている点からも、
    現場での採集と選別に
    長い蓄積があったことがうかがえます。

    報告したのは大学・研究所・水族館の合同チーム

    • 自見直人(国立極地研究所・当時 学振特別研究員)
    • 波々伯部夏美(東京大学 大学院生)
    • 森滝丈也(鳥羽水族館 学芸員)
    • 木村妙子(三重大学 教授)
    • 伊村智(国立極地研究所 教授)

    掲載誌は
    Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research
    論文タイトルは
    「First evidence of male dwarfism in scale-worms」から始まります。
    冒頭にfirst evidenceと置かれているとおり、
    ウロコムシ科では前例のない報告でした。

    よくある質問

    Q1. ウロコムシとはどんな生きものですか?

    ゴカイなどと同じ環形動物のグループで、
    背中にうろこ状の板が並ぶのが特徴です。
    釣りエサのゴカイとは近い親戚にあたります。

    Q2. 矮雄はほかの生きものにもいますか?

    発表資料ではチョウチンアンコウ
    代表例として挙げられています。
    深海の生きものに知られた現象です。

    Q3. 水深はどのくらいですか?

    公表資料には「熊野灘の深海」としか記されておらず、
    具体的な水深は示されていません。
    数字の断定は避けます。

    Q4. 人間に害はありますか?

    深海の殻の中に暮らす数mmの生きもので、
    人と接点を持つ場面がありません。
    害があるという情報も確認できませんでした

    Q5. 番組ではこの種が紹介されますか?

    番組の予告に個別の種名は出ておらず、
    取り上げられるかどうかは不明です。
    テーマは「ゴカイスーパーパワー」で、
    医療・防災・脳といった応用が軸になっています。

    まとめ

    イッスンボウシウロコムシは、
    三重県沖の熊野灘で見つかったゴカイの仲間
    名前の由来は一寸法師で、
    メス約2cm・オス約5mmという差が
    ウロコムシ科では初の矮雄にあたります。

    小さいことに理由がある。
    それが殻の間取りなのか、エサの少なさなのか
    まだ分かっていません。
    放送は8月9日(日)23時30分・Eテレ
    ゴカイという言葉の解像度が上がる30分になりそうです。

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