フジキブクレハボウキは水深9mの新種!昭和基地のすぐ横で見つかった理由を予想

    【結論】見つかったのは深海ではなく、水深わずか9mの浅い場所でした。

    • 正体はハボウキゴカイ科の多毛類
    • 学名Flabegraviera fujiae、2017年1月に発表
    • 採集地は昭和基地西方「西の浦」
    • 採集日は1981年1月16日(第22次観測)
    • 論文タイトルに「最も浅い記録」とある
    • 記載者に自見直人さん(8月9日サイエンスZERO出演)
    この記事の要点
    • 基地のすぐ横なのに未発見だった理由の予想
    • 水深9mという数字の重み
    • 名前の意味と観測船「ふじ」との関係
    • 記載した研究チームと掲載誌
    • サイエンスZEROの放送日時

    南極の新種と聞くと、
    砕氷船と潜水艇で
    深い海へ潜っていく絵を思い浮かべます。
    でもこの生きものが採られたのは、
    基地から歩いて行ける入り江の、水深9mでした。

    目次

    【予想】南極で空白なのは「深い海」ではなく「近い海」

    ここからは編集部の予想です。
    先に言ってしまうと、南極でいちばん調べ残されているのは深海ではなく、基地のすぐ足元の浅い海ではないかと考えています。

    予想1:論文タイトルが「最も浅い記録」だから。
    論文は
    「A new species and the shallowest record of Flabegraviera」というタイトルです。
    shallowest=最も浅い
    つまりこの属は
    これまでもっと深い場所の生きものだと思われていたことになります。
    新種の報告と同時に、
    グループ全体の分布の上限が塗り替わった。
    浅い側に記録が伸びたということは、
    浅い側がそもそも
    あまり見られていなかった可能性が高い。
    そう読むのが自然だと予想します。

    予想2:人はいたが、見る専門家がいなかった。
    昭和基地には毎年、観測隊が滞在します。
    「西の浦」は基地のすぐ西で、
    スキューバ潜水で潜れる深さです(国立極地研究所)。
    人の出入りという意味では、
    南極でもっとも密度が高い海域のひとつのはずです。
    それでも新種のまま残っていた。
    理由は観測の量ではなく、
    多毛類を見分けられる人の数だと予想します。
    自見さんのラボの公式サイトも、
    多毛類は「分類は難しく、その分類学的研究は必要とされながら遅れてきた」と記しています(菅島臨海実験所ラボサイト)。

    予想3:目立たない生きものほど後回しになる。
    南極の海の主役として紹介されるのは、
    ペンギン、アザラシ、オキアミあたりです。
    ハボウキゴカイ科の多毛類は、
    ニュースになりにくいグループ。
    研究の順番は
    生態系の重要度ではなく、
    注目度で決まってしまう面があると考えます。
    採集は1981年、記載は2017年。
    この36年の開きは、
    順番待ちの長さそのものではないでしょうか。
    逆に言えば、南極の収蔵標本には
    まだ名前のついていない生きものが
    相当数ねむっていると予想します。

    ここまでは予想です。
    発表資料には
    「なぜ2017年まで未記載だったか」の説明はありません。
    番組で南極の話題が出るかどうかも不明です。

    水深9mがどれくらい浅いか

    9mは、
    ビルでいえば3階建てぶんの高さです。
    一般的なレジャーダイビングでも
    初心者が到達する深さにあたります。

    採集日1981年1月16日
    場所昭和基地西方「西の浦」
    水深9m
    観測隊第22次南極地域観測
    発表2017年1月(Zootaxa)

    南極の海で潜るのは
    もちろん簡単ではありませんが、
    装備さえあれば人が直接届く深さです。
    採集はスキューバ潜水で行われました。

    名前の「フジ」は観測船の名前

    国立極地研究所の発表によると、
    命名は第22次観測で活躍した南極観測船「ふじ」にちなんでいます。
    学名の種小名fujiaeも同じ由来です。

    和名は3つに分けると読みやすくなります。
    フジ=観測船ふじ、
    キブクレ=厚い体表に包まれた見た目、
    ハボウキ=所属するハボウキゴカイ科。
    由来・見た目・分類
    ひとつの名前に詰め込まれています。

    サイエンスポータル(科学技術振興機構)の記事には、全長約10センチで、厚いゼラチン質に覆われた着膨れしたような姿と紹介されています。二次情報のため参考として記載します。

    記載したのは大学院生を含む5人

    • 自見直人(北海道大学大学院 理学院)
    • 辻本惠(国立極地研究所)
    • 渡邉研太郎(国立極地研究所)
    • 角井敬知(北海道大学大学院 理学研究院)
    • 柁原宏(北海道大学大学院 理学研究院)

    掲載誌は動物分類学の国際誌Zootaxa
    オンライン公開は
    ニュージーランド時間2017年1月19日でした。
    自見さんは当時大学院生で、
    博士号の取得は2019年3月です。

    よくある質問

    Q1. 読み方を教えてください

    ふじきぶくれはぼうきです。
    「ふじ/きぶくれ/はぼうき」で区切ると
    覚えやすくなります。

    Q2. どんな見た目ですか?

    厚い体表に包まれた、
    着膨れしたような姿と紹介されています。
    ただしこれは二次情報で、
    極地研の発表資料には見た目の記述がありません。

    Q3. 南極にしかいないのですか?

    自見さんのラボの公式サイトでは
    南極固有種として紹介され、
    特異な骨片を持つ点も記されています。

    Q4. 標本はどこにありますか?

    保管先について、
    発表資料に具体的な記載はありません。
    そのため断定は避けます

    Q5. サイエンスZEROは何時からですか?

    2026年8月9日(日)23時30分〜24時00分
    NHK Eテレです。
    タイトルは
    「医療・防災・脳の解明につながる!?ゴカイスーパーパワー」。

    まとめ

    フジキブクレハボウキは、
    昭和基地のすぐ西・水深9mで1981年に採られ、
    2017年1月に新種として発表されました。
    論文には「最も浅い記録」という言葉が入っています。

    南極の未知は、
    遠くて深いところだけにあるわけではない
    放送は8月9日(日)23時30分・Eテレ
    記載者のひとりが登場します。

    参照リンク

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