甲子園の土は歴代全部でも東京ドームの0.01%|満杯には約78万5千年かかる計算

    本記事はプロモーションを含みます。

    「歴代の高校球児が持ち帰った甲子園の土を全部集めたら、東京ドームが満杯になる」。
    SNSでときどき流れてくる話です。
    公式資料で確認できる容積・面積・開催回数を使い、
    1人あたりの量と土の密度には仮定を置いて計算しました。
    結果は、桁が3つ足りません

    【結論】歴代すべてを合わせても、東京ドームの容積の約0.01%にしかなりません。満杯にするには約78万年かかる計算です。

    @shougun0315

    歴代の高校球児の土集めたら東京ドーム満杯なるって本当か?#野球 #甲子園 #高校野球

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    この記事で分かること
    • 歴代の土は合計で約243トンという試算
    • 東京ドームの容積と比べると約0.01%
    • 満杯にするには約198万トン・約78万年
    • 甲子園で実際に開かれたのは夏96回・春96回
    • ベンチ入り20人は2023年からという盲点
    目次

    【考察】「東京ドーム満杯」説はどこから来たのか

    ここからは編集部の予想です。

    この説が生まれた理由は、「東京ドーム◯個分」という言い回しが単位として便利すぎたからだと考えています。
    理由を3つ挙げます。

    理由1:比較の対象が「面積」と「容積」で入れ替わりやすい

    東京ドームは公式に建築面積46,755m²容積約124万m³と発表しています(東京ドーム公式)。
    ところが世間で使われる「東京ドーム◯個分」は、面積の意味で語られることが多い言い回しです。
    面積で考えると、土243トンでもグラウンドを覆うくらいには見えます。
    そこから「満杯」へ一気に飛ぶ誤解が起きたと読んでいます。

    理由2:起源すら「説」のまま100年が過ぎた

    球場の公式Q&Aは、初めて土を持ち帰った人物について「川上哲治(1937年、夏の23回大会)という説があります」と書いています(阪神甲子園球場公式)。
    運営者自身が「説」と断っているのが実情です。
    始まりが確定していないものについて、累計の量だけが確定して語られるはずがありません。
    空いた部分には、数字ではなくたとえ話が入ります。

    理由3:「土」そのものが数字で語られてこなかった

    阪神甲子園球場の公式Q&Aは、黒土について産地を複数挙げたうえで「毎年決まっているわけではない」と説明しています(阪神甲子園球場公式)。
    春は雨が多いので砂を多めに、夏は白球を見やすくするため黒土を多めに配合するとも書かれています。
    つまり公式が語っているのは配合であって、量ではありません
    量の空白に、誰かの「たとえ話」が入り込んだと私は見ます。

    そのうえで、この説がここまで生き延びた理由も見当がつきます。
    否定するほうが手間だったからです。
    「そんなわけがない」と感じた人は多かったはずですが、
    反論するには容積・密度・開催回数・ベンチ入り人数を全部そろえる必要があります。
    その手間の差が、検証されないまま残る期間になったとみています。

    必要な数字は、公式サイトにすべて載っています
    東京ドームは容積とグラウンド面積を、
    甲子園球場は土の配合と起源の「説」を、
    高野連は大会ごとの中止・会場変更まで公開しています。
    突き合わせるだけで答えは出ます
    足りないのは資料ではなく、並べてみようとする人のほうでした。
    次の見出しから、実際に並べていきます。

    ここまではあくまで予想であり、断定ではありません。説の発生源を特定した資料は見つかっていません。

    歴代の甲子園の土は合計で約243トン

    まず、持ち帰られた土の総量を出します。
    1人あたりの量は約1.6kgという試算が広く使われています。
    スパイク袋におよそ2kg入り、8割ほど詰めるという前提の試算です(未来ダイバー)。
    公式の発表ではないので、ここだけは仮定値として扱います。
    体積に直すときの土の密度1.6トン/m³も、同じく計算上の仮定です。

    項目数値
    1人あたりの量約1.6kg(推定)
    ベンチ入り人数20人
    夏の敗退校48校(49代表−優勝校)
    夏1大会あたり1,536kg
    春の敗退校31校(32校−優勝校)
    春1大会あたり992kg
    1年あたり約2.5トン

    1年で約2.5トンです。
    これを甲子園で実際に開かれた回数分だけ積み上げます。
    後で詳しく書きますが、今年の第108回まで含めて夏96回・春96回です。
    掛け算すると夏147.5トン+春95.2トン=約243トンになります。
    10トントラックで25台分ほどの量です。

    今年の第108回大会は8月22日が決勝で、大会第15日にあたります(阪神甲子園球場公式)。
    土は大会の期間を通じて敗れたチームから順に持ち帰られており、
    この決勝で今年の分が出そろいます。

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    数字や勝敗を後から確認したいときに便利です。

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    東京ドームと比べると0.01%にしかならない

    ここからが本題です。
    土の密度を1.6トン/m³とすると、243トンは約152m³になります。
    東京ドームの容積は約124万m³です。
    割り算するとこうなります。

    比較数値
    歴代の土の体積約152m³
    東京ドームの容積約1,240,000m³
    割合約0.012%
    グラウンド(13,000m²)に均すと厚さ約1.2cm

    0.01%です
    満杯どころか、グラウンドに1.2cmしか敷けません
    くるぶしまで埋まることもない厚さです。
    グラウンド面積13,000m²という数値も公式の発表です(東京ドーム公式)。
    1.2cmという結果は、そこから素直に割っただけの数字です。

    満杯にするには約198万トン・約78万年かかる

    逆から計算すると、実感がもっと分かります。
    124万m³を土で埋めるなら、124万×1.6=約198万トンが必要です。
    いま1年で持ち帰られるのは約2.5トンでした。

    問い答え
    満杯に必要な土約1,984,000トン
    1年で集まる量約2.5トン
    必要な年数約78万5千年
    必要な大会数夏の大会だけで約129万回

    約78万5千年です。
    甲子園球場ができたのが1924年ですから、まだ100年ちょっとしか経っていません。
    甲子園ができてから今日までを、約7,700回くり返す長さにあたります。
    「満杯になる」という言い方が、どれだけ現実離れしているかが分かります。

    甲子園で開催されたのは夏96回・春96回

    ここで注意したいのが、大会の回数と、甲子園で開かれた回数は違うという点です。
    今年の夏は第108回ですが、108回すべてが甲子園というわけではありません
    日本高等学校野球連盟の大会小史をたどると、除かなければならない年が出てきます(日本高等学校野球連盟)。

    年(回)除く理由
    第1回〜第9回甲子園完成前(豊中・鳴尾)
    第27回(1941年)戦局悪化で中止
    1942〜1945年第2次世界大戦で中断
    第28回(1946年)阪急西宮球場で再開
    第102回(2020年)新型コロナで中止

    甲子園が完成したのは第10回(1924年)で、この大会から甲子園開催です。
    戦後に甲子園へ戻ったのは第29回(1947年)、実に7年ぶりでした。
    差し引くと、今年の第108回を含めて夏は96回になります。

    春のセンバツも同じように数え直します。
    第1回(1924年)は名古屋の山本球場で開かれており、甲子園は第2回(1925年)からです(日本高等学校野球連盟)。
    第18回(1941年)で戦前が終わり、5年の中断を経て第19回(1947年)で再開。
    2020年の第92回は中止で、開催決定後の中止は史上初でした。
    こちらも差し引くと96回です。

    「歴代70大会」といった数え方をよく見かけますが、春を含めるなら合計192回が実際に甲子園で開かれた回数になります。

    ベンチ入り20人は2023年から|243トンは上限値

    もうひとつ、見落とされやすい点があります。
    ベンチ入り20人という前提が使えるのは、ごく最近だけです。
    夏の大会で20人になったのは2023年の第105回からで、それ以前はもっと少ない人数でした(道新スポーツ)。

    時期ベンチ入り
    1915年〜人数制限なし
    1928年〜14人
    1978年〜15人
    1994年〜16人
    2003年〜18人
    2023年〜20人

    1928年から1977年までは14人でした。
    つまり全期間を20人で計算した243トンは上限値です。
    ベンチ入り人数だけで平均を取り直しても、2割以上は目減りします
    出場校数も昔はずっと少なく、第11回(1925年)の代表は21校でした(日本高等学校野球連盟)。
    実際の総量は、243トンよりかなり下と考えるのが自然です。
    結論の向きは変わりません。甘く見積もっても届かないということです。

    Q&A

    Q1. 優勝校も土を持ち帰るのですか?

    土を持ち帰るのは敗れて甲子園を去るチームという習慣です。
    この記事の計算でも、優勝校の1校を除いた数で出しています。
    ただし規則ではなく習慣なので、全員が必ず持ち帰るとは限りません

    Q2. 甲子園の土はどこの土ですか?

    公式Q&Aによると、黒土は岡山県日本原・三重県鈴鹿市・鹿児島県鹿屋・大分県大野郡三重町・鳥取県大山などをブレンドしています。
    ただし毎年決まっているわけではないとも書かれています。
    砂の産地は甲子園浜から瀬戸内海産、中国福建省を経て京都府城陽へと変わってきました。

    Q3. 最初に持ち帰ったのは誰ですか?

    球場の公式Q&Aは川上哲治(1937年、夏の第23回大会)という「説」があると記しています。
    運営者自身が断定を避けている点が重要です。
    確定した記録ではありません

    Q4. 1人1.6kgという数字は正しいのですか?

    公式の発表ではなく、スパイク袋の容量からの推定です。
    この記事でも推定値として扱っています。
    仮に2倍の3.2kgでも合計は約486トンで、東京ドームの約0.025%です。
    前提を倍にしても結論は変わりません。

    Q5. 「東京ドーム◯個分」はなぜ分かりにくいのですか?

    面積で使われる場合と容積で使われる場合があるためです。
    公式が出しているのは建築面積46,755m²と容積約124万m³で、数字の性質がまったく違います
    単位が違うので、数字だけを比べると規模感を取り違えます

    Q6. この記事の考察は事実ですか?

    最初のH2に置いた【考察】は編集部の予想です。
    容積・面積・開催回数・ベンチ入り人数は公式や連盟の資料に基づく数字ですが、
    説の発生理由は推測にすぎません。

    まとめ

    • 歴代の甲子園の土は多く見積もって約243トン
    • 体積は約152m³で、東京ドームの約0.01%
    • グラウンドに均すと厚さ約1.2cmにしかならない
    • 満杯にするには約198万トン・約78万年
    • 甲子園開催は夏96回・春96回の計192回
    • ベンチ入り20人は2023年からなので243トンは上限

    数字にすると身も蓋もありませんが、
    量の少なさこそが価値だとも言えます。
    1人が持てるのは袋ひとつぶん、たった1.6kg
    その積み重ねが100年で243トンです。
    今年の決勝は8月22日
    また新しい1.6kgが、全国へ散っていきます。

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