【結論】インフルエンザの流行は、8月の時点ですでに始まっています。神奈川県は8月20日に流行開始を発表し、その時期は昨シーズンより1カ月半ほど早いものでした。
- 神奈川県は第33週(8月10日〜16日)の定点当たり患者報告数が1.37となり、流行開始の目安1.0を超えました
- 横浜市は8月19日時点で市内全体が1.22、11区が基準を超えています
- どちらも「昨年より1カ月半ほど早い」という表現で公表されています
- 学校の出席停止は発症後5日かつ解熱後2日。幼児は解熱後3日で、日数の数え方に落とし穴があります
夏休みの終わりに「インフルエンザ」で検索した方が多い週でした。真夏に流行開始が発表されるのは珍しく、新学期を控えた家庭にとっては予定に直結する話です。
この記事では、どの地域でどの数字が出たかを整理し、この先の広がりの予想と、学校や保育園を何日休むのかをまとめます。
【考察】インフルエンザの流行はこの先どこまで広がる?ピークはいつか
この流行は9月の新学期を境に一段と伸び、ピークは例年より1カ月から2カ月ほど前倒しになると読んでいます。秋のうちに山が来て、年末には落ち着き始める形です。そう考える理由を3つ挙げます。
理由1:ひとつの市ではなく、県の単位で目安を超えている
神奈川県は第33週(8月10日〜16日)の定点当たり患者報告数が1.37となり、流行開始の目安である1.0を超えたと発表しました(神奈川県)。横浜市も8月19日に市内全体で1.22、神奈川区・港南区・旭区・磯子区・金沢区・港北区・緑区・都筑区・栄区・泉区・瀬谷区の11区が基準を超えたと公表しています(横浜市)。1カ所の学校や施設で固まって出ているのではなく、離れた区で同時に立ち上がっている形です。面で広がっている流行は、途中で自然に消えにくいというのが、この数字の読みどころだと考えます。
理由2:学校が休みの時期に増えている
8月は多くの学校が夏休みで、子ども同士が毎日顔を合わせる場が減る時期です。それでも報告数が目安を超えたということは、学校以外の経路で広がっていることを意味します。帰省や旅行、屋内施設での接触が拾われたと見るのが自然です。埼玉県では8月3日から9日の週に狭山で3.50、朝霞で2.00という数字が出ており、そのうち約半数が子どもだと伝えられています(TBS NEWS DIG)。9月に授業が再開すると、そこへ教室という増幅装置が加わります。下地がある状態で新学期を迎える点が、例年の秋の立ち上がりと大きく違うところです。
理由3:昨シーズンからA香港型が増えていた
東京都感染症情報センターの集計では、2025-26シーズンのウイルス検出数は累計747件で、前シーズンの391件から増えています。内訳ではA香港型(AH3亜型)が83件から438件へと大きく伸びました(東京都感染症情報センター)。このシーズンは2025年9月1日から2026年8月30日までを指すため、今回の8月の増加も同じ集計の中に入っています。前年から大きく増えたA香港型が、勢いを保ったまま夏まで来ている形です。季節の変わり目を待たずに立ち上がったのは、この型の広がりが下地になったからだと私は見ています。
参考までに、東京都が前のシーズンに流行入りを発表したのは2025年10月2日でした。今回の神奈川県の発表は8月20日で、暦のうえでも大きく前倒しです。
ここまではあくまで予想であり、断定ではありません。実際の広がり方は今後の週ごとの報告数で変わります。
8月に流行開始と発表された地域と数字
出発点は、神奈川県と横浜市がそれぞれ出した公表資料です。数字を並べると状況がつかみやすくなります。
| 自治体 | 時点 | 定点当たり報告数 |
|---|---|---|
| 神奈川県 | 第33週(8月10日〜16日) | 1.37 |
| 横浜市 | 8月19日発表 | 1.22(11区が基準超え) |
| 流行開始の目安 | ー | 1.00 |
県や市の単位だけでなく、区や保健所の単位でも目安を超えた地点が出ています。東京都では8月3日から9日の週に文京区1.29、墨田区1.14、世田谷区1.08、神奈川県では8月10日から16日の週に川崎市1.93という数字が報じられました(TBS NEWS DIG)。首都圏の複数の地点で同時に線を超えている状況です。
「定点当たり報告数」は、指定された医療機関1カ所あたり1週間に何人の患者が報告されたかを示す数字です。1.0を超えると流行開始の目安とされ、今回はその線を上回りました。神奈川県は同時に、手洗い、適度な湿度(50〜60%)の維持、十分な休養とバランスのとれた栄養、人混みでのマスク着用と手指衛生、せき・くしゃみが出るときのマスク着用を呼びかけています。
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なぜ夏にインフルエンザが増えたのか
インフルエンザは冬の病気という印象がありますが、ウイルス自体は一年中なくなるわけではありません。条件がそろえば夏でも地域単位で増えます。
今回の時期に重なった条件として、お盆の帰省や旅行で人の移動が増えたこと、暑さで冷房の効いた室内に人が集まりやすかったことが挙げられます。冷房中の部屋は換気が減り、湿度も下がりがちです。神奈川県が湿度50〜60%の維持を呼びかけているのは、この乾燥がのどや鼻の防御を弱めるためです。
現場の実感としても、例年とは違う動きが報じられています。いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は「季節外れのインフルエンザの患者さんが多いと感じています」「例年ですと、夏を通して1人あるいは1家族いるかどうかですが、昨今だんだん季節がおかしくなってきて、今年は特に多いです」と話しています(TBS NEWS DIG)。夏の間の患者数そのものが、以前より増えているという見方です。
加えて、この時期は次の年度のワクチン接種がまだ始まっていないタイミングにあたります。守りが薄い時期と流行の立ち上がりが重なった形です。
学校と保育園の出席停止は何日?数え方の落とし穴
新学期が近い時期にいちばん困るのが、休む日数の計算です。インフルエンザの出席停止期間は学校保健安全法施行規則で決まっており、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでとされています(静岡県立韮山高等学校)。
- 発症した日は0日目。翌日から1日、2日と数えます
- 解熱した日も0日目。平熱で過ごした日を1日、2日と数えます
- 2つの条件を両方とも満たした翌日から登校できます
- 保育所・幼稚園の幼児は解熱した後3日で、小学生以上より1日長くなります
幼児の基準が長いのは、乳幼児のほうがウイルスを出す期間が長い傾向があるためで、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」が根拠になっています。同ガイドラインは「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」と定めています(札幌市医師会)。熱が下がったから翌日には行ける、とはならない点に注意してください。
職場については法律の定めがなく、勤務先の規定によります。学校の基準を社内ルールにしている会社もあるため、就業規則の確認をおすすめします。
SNSと検索で注目されている点
今回の話題で一緒に検索されているのは、「潜伏期間」「症状」「予防接種」「出席停止」「夏」といった語でした。ニュースの事実確認より、自分の予定に当てはめる語が並んでいるのが特徴です。
反応として多いのは「夏に流行と言われてもぴんと来ない」という戸惑いと、「運動会や文化祭に重なるのでは」という心配です。学校行事が集中する秋と、流行の立ち上がりが重なる可能性が意識されています。
もう一つ多いのが、夏かぜとの見分けがつかないという声です。急な高熱、関節や筋肉の痛み、強い倦怠感がそろう場合はインフルエンザが疑われますが、症状だけで断定はできません。検査で判断されるものなので、迷ったら医療機関に相談してください。
Q&A
Q1. 流行開始の目安1.0はどういう意味ですか?
指定された医療機関1カ所あたり、1週間に報告された患者数の平均です。これが1.0を超えると流行入りの目安とされます。神奈川県は第33週に1.37、横浜市は8月19日時点で1.22でした。患者の実数ではなく、広がり方の傾向をつかむための指標です。
Q2. 神奈川以外の地域も流行しているのですか?
県の単位で流行開始を発表したのは神奈川県です。ただし東京都の文京区・墨田区・世田谷区、埼玉県の狭山・朝霞、神奈川県の川崎市でも目安の1.0を超える数字が報じられており、首都圏の複数の地点で増えています。一方で全国一律に流行入りしたわけではありませんので、お住まいの自治体や感染症情報センターの週ごとの発表で確認するのが確実です。
Q3. 学校は何日休むことになりますか?
発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまでです。発症日も解熱日も0日目として数えるため、最短でも発症日を含めて6日間は登校できません。解熱が遅れればその分だけ延びます。保育所・幼稚園の幼児は解熱後3日です。
Q4. 予防接種はいつ受ければよいですか?
開始時期や対象、費用は自治体と医療機関で異なります。横浜市は流行期前の接種を案内していますが、具体的な日程は各自治体の案内で確認してください。この記事で特定の時期を推奨することはしません。持病がある方や気になる症状がある方は、かかりつけ医に相談するのが確実です。
Q5. この記事の考察は確定した情報ですか?
いいえ。「【考察】」の見出しがついたセクションは編集部の予想で、断定ではありません。公表資料の数字をもとに読み解いたもので、実際の広がり方は今後の週ごとの報告数によって変わります。数字そのものは各自治体の発表を確認してください。
Q6. 夏のインフルエンザは症状が軽いのですか?
季節によって症状が軽くなるという決まりはありません。夏でも高熱や強い倦怠感が出ることがあります。時期を理由に自己判断で様子を見るのではなく、症状が続く場合は医療機関で相談してください。
今後の見通し
当面の注目点は、9月に入ってからの週ごとの報告数です。新学期が始まる週とその翌週の数字で、伸びが続くのか一時的だったのかが見えてきます。神奈川県以外の地域でも目安を超える発表が出るかどうかが、次の分かれ目になります。
家庭でできる備えとしては、体温の記録を残しておくことが挙げられます。発症日と解熱日がはっきりしていれば、出席停止の日数を正確に数えられます。学校へ提出する書類が必要な場合にも役立ちます。
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まとめ
インフルエンザの流行は、8月の時点ですでに始まっていました。神奈川県は第33週に定点1.37、横浜市は8月19日時点で1.22と11区での基準超えを公表し、いずれも昨シーズンより1カ月半ほど早い立ち上がりです。
- 流行開始の目安は定点当たり1.0。神奈川県は1.37、横浜市は1.22
- 学校の出席停止は発症後5日かつ解熱後2日、幼児は解熱後3日
- 発症日・解熱日はどちらも0日目から数える
- 9月の新学期後の報告数が、この先の広がりを見る手がかりになる
地域の状況は各自治体の発表で確認してください。

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