済生会八幡総合病院の謝罪、投稿者は「職員」で看護師かは未確認|看護師なら問われる守秘義務と院内規程

    本記事はプロモーションを含みます。

    【結論】「看護師とされる」と広まった投稿について、福岡県済生会八幡総合病院の謝罪文が示した主語は「職員」で、職種は未確認です。病院は事実関係を確認中としています。

    • 病院の謝罪文の主語は「当院職員」
    • 看護師という情報はSNS上のもので裏付けなし
    • 看護師には保健師助産師看護師法の守秘義務がある
    • 病院自身の指針も院内の撮影と個人情報に触れている
    この記事で分かること
    • 「看護師とされる投稿」で確認できていること・いないこと
    • 看護師だった場合に問われるルール
    • 「フォロワー限定」の投稿が外に出たJR札幌病院の経緯
    • 病院の謝罪文に書かれていること

    看護師とされる人物のSNSで、患者や院内を撮影した投稿が見つかった――。
    そんな情報とともに名前が広まったのが、北九州市の福岡県済生会八幡総合病院です。
    病院は10月16日に謝罪文を公表しましたが、
    SNSで言われていることと、病院が把握したと説明している範囲には差があります。
    この記事では、その差を確かめたうえで、
    投稿者が本当に看護師だった場合にどんなルールが関わるのかを整理します。

    投稿者・患者を特定する情報や、拡散している投稿の内容は掲載しません。

    目次

    【考察】投稿者が看護師と確認されたら、何が問われるのか?

    ここからは編集部の予想です。

    私の読みでは、
    まず問われるのは刑事責任ではなく、病院の規程による処分と、患者・家族への説明責任です。
    刑事責任を問う見方もありますが、
    法律の仕組みと同じ月の前例を並べると、順番は違って見えます。
    理由は3つです。

    答え1:守秘義務違反の罪は「告訴がなければ」起訴されない

    保健師助産師看護師法は第42条の2で、看護師が「正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定めています(法令検索(デジタル庁))。
    違反した場合の罰則は第44条の4で、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金とされています。
    ただし同条第2項に、「告訴がなければ公訴を提起することができない」とあります。
    刑事手続きに進むかどうかは、秘密を漏らされた側が告訴するかどうかにかかっているわけです。
    そのため、病院が先に動く院内の処分のほうが早く表に出ると私は見ています。

    答え2:看護職の倫理綱領は「画像」も個人情報に含めている

    日本看護協会の「看護職の倫理綱領」は本文5で、
    「看護職は、対象となる人々の秘密を保持し、取得した個人情報は適正に取り扱う」と定めています(日本看護協会)。
    その解説には、個人情報には「画像や音声によるもの」も含まれると明記されています。
    患者が写った画像や動画は、名前が出ていなくても個人情報として扱うべきものです。
    罪になるかどうかの手前で、職業倫理の問題として指導・処分の対象になると私は読みます。

    答え3:処分を公表した2病院は、いずれも院内の規程で対応した

    柏厚生総合病院は10月16日、「当院の規定に基づき該当職員は解雇いたしました」と公表しました(柏厚生総合病院)。
    千葉西総合病院も懲戒委員会を開き、撮影した看護師2人を解雇しています(スポニチアネックス)。
    済生会八幡総合病院の謝罪文も、「当院の規程等に基づき厳正に対処する」と書いています(福岡県済生会八幡総合病院)。
    病院が自ら示している道筋は、院内規程による対処だということです。

    もう1つの柱が患者・家族への説明です。
    千葉西総合病院は第2報で、患者の家族に電話で事実を報告して謝罪し、その後直接謝罪したことを公表していました(千葉西総合病院)。
    済生会八幡総合病院も「患者様、ご家族様への対応を最優先」と書いており、
    処分と並んで説明の中身が問われると私は見ています。

    ここまでは、法律の条文と他病院の前例から組み立てたあくまで予想です。
    済生会八幡総合病院の件で、告訴や処分が行われたという情報はありません。

    「看護師とされる投稿」いま確認できていること・いないこと

    SNSの情報と、病院・報道が示した情報をチェックリストで分けました。
    10月17日朝の時点の状況です。

    • 【確認済み】病院が職員のSNS投稿に関する情報を把握し、謝罪した
    • 【確認済み】病院は事実関係を確認中で、確認後に改めて報告するとしている
    • 【未確認】投稿者の職種が看護師であること
    • 【未確認】患者が撮影・掲載に同意していたか
    • 【未確認】投稿がどの範囲に公開され、どう広まったか
    • 【未発表】処分の有無と内容

    スポニチアネックスの報道も、「同病院の職員によって患者を撮影した動画」という表現にとどめています(スポニチアネックス)。
    「看護師」と書いているのは、いまのところSNS上の情報だけです。

    病院の謝罪文に書かれていること

    謝罪文のタイトルは
    「福岡県済生会八幡総合病院の職員によるSNS上の投稿に関するお詫び」です(福岡県済生会八幡総合病院)。
    主な文言を表にまとめました。

    内容謝罪文の文言
    把握したこと当院職員がSNS上に投稿した患者様に関する動画がインターネット上に掲載されているとの情報を把握
    現状現在、事実関係の確認を進めております
    今後の報告事実関係がわかりましたら、改めてご報告いたします
    対処当院の規程等に基づき厳正に対処する
    優先すること患者様、ご家族様への対応を最優先に必要な対応を進めてまいります

    病院は北九州市八幡西区にあり、許可病床は355床です(福岡県済生会八幡総合病院)。
    謝罪文は「患者様、ご家族様及び地域の皆様からの信頼を何よりも大切に考えております」とも述べています。

    患者の情報の扱いを法律の面から押さえたい人には、入門書が役に立ちます。
    ▼ 個人情報保護法の入門書はこちらから

    ※本件とは関係のない一般書の検索結果です。内容はリンク先でご確認ください

    患者を撮って載せる行為は、どんなルールに関わるのか

    投稿者の職種や経緯が分からない段階でも、
    関わりうるルールは整理できます。
    済生会八幡総合病院が公開している文書も含めて並べました。

    ルール主な内容対象
    保健師助産師看護師法業務上知り得た秘密を漏らさない(違反は告訴が必要な罪)保健師・看護師・准看護師
    看護職の倫理綱領秘密を守り、個人情報を適正に扱う(画像・音声も含む)看護職
    病院の医療安全管理指針院内での写真・動画撮影や録音を含め、個人情報保護に留意済生会八幡総合病院
    病院が掲げる患者の権利個人情報とプライバシーを守られる権利同病院の患者

    病院の医療安全管理指針には、
    「院内における患者・職員の写真・動画撮影、また録音などを含め患者・職員の個人情報保護に留意する」とあります(福岡県済生会八幡総合病院)。
    患者の権利のページでも、個人情報とプライバシーを守られる権利が挙げられています(福岡県済生会八幡総合病院)。
    今回の件がどのルールに当たるかの判断は、病院の確認結果を待つ必要があります。

    「フォロワー限定」でも外に出る JR札幌病院の経緯

    済生会八幡総合病院の投稿がどの範囲に公開されていたかは、まだ分かっていません。
    参考になるのが、10月15日にJR北海道が公表したJR札幌病院の経緯です(札幌テレビ放送)。

    日付JR北海道が公表した経緯
    8月17日看護師Aが病棟内で患者が食事する様子を私物のスマートフォンで撮影
    8月28日看護師Bがフォロワー向けに限定投稿し、8〜10時間後に削除
    9月17日再び撮影した写真を、看護師Bがインスタグラムでフォロワー限定で投稿し、8〜10時間後に削除
    10月13日SNS上での拡散を別の社員が把握し、発覚

    最初の限定投稿から発覚までは46日、2回目の投稿からでも26日あります。
    限定公開で、すぐ消したつもりでも、後から広まることがあるという例です。
    同病院は、私物の携帯電話を現場に持ち込むことを原則禁止していましたが、2人は「認識していなかった」と話していると報じられています(札幌テレビ放送)。
    13日の時点で病院は「事実が確認され次第、社内規定に基づき厳正に対処する」とコメントしていました(札幌テレビ放送)。

    よくある質問

    Q1. 済生会八幡総合病院の投稿者は看護師だと分かったのですか?

    分かっていません。
    病院の謝罪文の主語は「当院職員」で、報道も「職員」と書いています。
    看護師とする情報はSNS上で広まったもので、病院・報道による裏付けはありません。

    Q2. 患者を撮影してSNSに載せると、犯罪になるのですか?

    看護師の場合、保健師助産師看護師法の守秘義務違反に当たれば罰則があります。
    ただしこの罪は告訴がなければ起訴できない仕組みです。
    今回の件が罪に当たるかどうかは、事実関係が分からない段階では判断できません。

    Q3. 顔や名前が出ていなければ問題ないのでは?

    日本看護協会の倫理綱領は、個人情報には画像や音声によるものも含まれるとしています。
    名前が出ていなくても、患者が写った画像や動画は慎重に扱うべきものとされています。

    Q4. 病院はいつ続報を出しますか?

    日付は示されていません。
    病院は「事実関係がわかりましたら、改めてご報告いたします」としています。
    10月17日朝の時点で、公式サイトに続報はありません。

    Q5. 考察の内容は事実ですか?

    いいえ、考察は編集部の予想です。
    法律の条文と同じ月の他病院の対応をもとにした読みで、
    済生会八幡総合病院の判断を示したものではありません。

    これから注目したい点

    病院の確認結果で、まず投稿者の職種がはっきりするかどうかが焦点です。
    看護師であれば、守秘義務や倫理綱領との関係がより具体的に問われます。
    あわせて、患者・家族への説明がどう行われたかも、病院の信頼回復には欠かせません。

    SNSで出回る情報をもとに投稿者や患者を探すことは、
    新たな被害につながりかねません。
    続報は病院の公式サイトで確認するのが確実です。

    まとめ

    この記事のポイント
    • 病院が示したのは「職員」による投稿の情報を把握したことまで
    • 看護師かどうかは未確認で、処分も未発表
    • 看護師の守秘義務違反は告訴が必要な罪
    • 倫理綱領は画像・音声も個人情報に含める
    • JR札幌病院では限定投稿が後から拡散した

    「看護師とされる」という言葉だけが先に広まっている状態です。
    病院の確認結果が出るまでは、分かっていることと分かっていないことを分けて受け止めたいところです。

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    CAPTCHA


    目次