【結論】ONEでは、体重が規定内でも尿比重1.025以下を示せなければ試合に出られません。安保瑠輝也選手の「ONE SAMURAI 4」の試合も、この検査を最後まで通過できず中止になりました。
- ハイドレーションテスト=尿の濃さ(尿比重)で水分状態を見る検査
- 合格ラインは1.025以下、医師が屈折計で測定
- 大会の24〜48時間前に体重計量とセットで実施
- きっかけは2015年の水抜きをめぐる死亡事故と報道
「体重は落とせていたのに、なぜ試合ができないの?」
安保瑠輝也選手の試合中止を知って、そんな疑問を持った方は多いのではないでしょうか。
ONEには、ほかの格闘技団体ではあまり見られない独自の計量ルールがあります。
ここでは公式ルールの中身を順番に確認し、今回のケースに当てはめて解説します。
- ハイドレーションテストの基準と手順
- 不合格だったときに何ができて何ができないか
- 安保選手のケースでどこで止まったのか
- 基準が見直される可能性についての編集部予想
【考察】ONEのハイドレーションテストは見直されるのか
ここからは編集部の予想です。
結論から言うと、「1.025以下」という基準は当面変わらないと私は考えます。
検査の意義について一部の選手やファンから疑問の声もあると報じられましたが(ENCOUNT)、ONEにとってこの検査は団体の看板そのものです。
動くとしても、数値ではなく運用の細部にとどまるでしょう。
理由1:検査の出発点が「死亡事故」だから
ONEでは2015年、試合を控えた中国人選手が水抜き中に倒れ、亡くなったと報じられています(ENCOUNT)。
当時の海外報道も、この出来事を受けてONEが翌年1月から新しい減量方針を始めると伝えていました(米スポーツメディアのザ・スコア)。
人命にかかわる経緯から生まれた基準を、一人の選手の不合格をきっかけに緩めるのは、団体として最も避けたい判断のはずです。
理由2:「ほとんどの選手は通っている」という数字がある
チャトリ・シットヨートンCEOは大会後の会見で、「95%の選手は問題なくクリアしている」と述べました(デイリースポーツ)。
ENCOUNTの報道では、同じ趣旨を「所属選手の95~99%」と伝えています(ENCOUNT)。
大多数が通過できている以上、ONEは「基準が厳しすぎる」とは受け止めないと見るのが自然です。
安保選手が主張する「体質」も、医学的な裏付けが示されるまでは個別の事情として扱われるでしょう。
実際、同じ大会では計量に失敗した別の選手が、その後に検査を通過してキャッチウエートで試合を成立させています(ENCOUNT)。
救済の道が実際に機能している以上、数値そのものを下げる理由は見当たりません。
理由3:CEOは「緩める」より「守らせる」方向で語った
改善点を問われたチャトリCEOは、「規定の手続きやペナルティはすでにある」と答えています(ENCOUNT)。
さらに一般的な方針として、計量に失敗した選手、特にタイトルマッチで失敗した選手には当面タイトル挑戦の機会を与えないとも話しました(ENCOUNT)。
発言の向きは、ルールを見直すのではなく、守れなかった側の責任を重く見る方向です。
一方で、安保選手は医療機関で体質を調べる考えを示しており、結果しだいでは個別の相談の場が持たれる可能性はあります。
たとえば選手ごとの平常時の数値をどう扱うかといった運用面の話し合いは考えられますが、ONEがそうした検討を表明した事実はありません。
それでも基準の数値そのものは動かない、というのが私の読みです。
以上は公開情報をもとにしたあくまで予想であり、断定ではありません。
ハイドレーションテストの仕組み
ONEは公式サイトで、自らを「脱水による危険な減量(いわゆる “水抜き”)を禁止する先駆者」と位置づけています(ONE公式)。
選手は医療技術者の立ち会いのもとで尿のサンプルを出し、ONEの医師が屈折計で尿比重を測定します。
尿は体の水分が足りないほど濃くなるため、その濃さを数字で確かめるわけです。
公式ルールの早見表
| 場面 | ONE公式ルールの扱い |
|---|---|
| 実施のタイミング | 大会の24〜48時間前に、尿比重の検査と体重計量を同時に行う |
| 合格ライン | 尿比重1.025以下で適正な水分状態と判定 |
| 検査に合格した場合 | その場で体重計量へ進む |
| 検査に不合格の場合 | 合格するまで体重計量はできない |
| 体重だけ超えた場合 | 計量開始から3時間以内なら再計量できる(再計量時も検査が必要) |
| 3時間で通らなかった場合 | 基準を満たす尿を出せば体重計量ができ、両選手の体重が105%以内ならキャッチウエートを交渉できる |
| 失格した側 | ファイトマネーの一定割合を対戦相手に渡す |
表の内容はすべてONE公式の計量システムの説明によるものです。
ポイントは、体重より先に水分の状態を確かめる順番になっていることです。
格闘技の観戦をきっかけに、自分でもミット打ちやキックボクシングを始めてみたいという方もいるかもしれません。
▼ 練習用のキックボクシンググローブはこちらから探せます。
※オンス数や価格は商品によって違います。リンク先でご確認ください
安保瑠輝也のケースはどこで止まったのか
安保選手は10月17日の「ONE SAMURAI 4」(東京・有明アリーナ)で、ボグダン・シュマロフ選手(ブルガリア)とライト級のキックボクシング戦を予定していました(オリコンニュース)。
報道を早見表と照らすと、3つの段階で止まったことが分かります。
段階1:制限時間内に検査を通れなかった
16日の1回目は、体重169.4ポンドで規定内だったものの、検査は不合格だったと報じられています(スポニチアネックス)。
ENCOUNTによると、このときの数値は1.0292で、基準の1.0250をわずかに上回っていました(ENCOUNT)。
再検査でも通らず、体重も170.2ポンドとライト級の上限170ポンドを超えています。
なお公式ルールでは検査に合格するまで体重計量は認められないとされていますが、報道では1回目の体重も伝えられています。
この体重がどのような扱いの測定だったのかは公表されていません。
段階2:交渉に必要な尿を出せなかった
時間切れの後も、キャッチウエートの交渉に進むには基準を満たす尿のサンプルが必要でした(ENCOUNT)。
安保選手は検査を続けましたが、日付をまたいだ9回目のテストも不合格となっています(ENCOUNT)。
段階3:ONEが中止を発表
17日、ONEは公式リリースで「安保瑠輝也選手は、本試合に向けたハイドレーションテストおよび計量をクリアすることができなかったため、当該試合は中止となりました」と発表しました(スポニチアネックス)。
体重の超過はわずか0.2ポンドでしたが、水分の証明ができなかったことで交渉の入口にも立てなかった形です。
本人の主張とONE側の説明
安保選手はXで、「選手の健康を守るためのルールが、逆に選手のコンディションを悪くしてたら無意味やろ」と疑問を投げかけました(スポニチアネックス)。
検査を通るまでは体重を3キロしか戻せないため、まともに食事がとれないとも書いています。
17日公開のYouTube動画では、水抜きはしていないと説明し、医療機関で体質を調べる考えを示しました(安保瑠輝也公式YouTube)。
これに対しチャトリCEOは、大会週に脳のCTスキャンや心電図、神経学的検査なども行っており、ハイドレーションもその一環だと説明しています(ENCOUNT)。
オリコンニュースによると、会見では「他に責任を押し付けるのは簡単だが、自分で責任を持ってやってほしい」とも述べました(オリコンニュース)。
計量ニュースを読むときのチェックリスト
ONEの大会前には、毎回のように計量の話題が出ます。
見出しだけで判断しないために、次の4点を確認すると状況がつかみやすくなります。
- 不合格だったのは体重か、尿比重か、その両方か
- 制限の3時間以内の話か、その後の話か
- キャッチウエートの交渉に入れたかどうか
- 試合の可否がONEの公式発表で確定しているか
同じ大会では、吉成名高選手の挑戦者が計量に失敗した後、検査を通過してキャッチウエートでの試合が成立しています(ENCOUNT)。
「計量失敗」でも、検査を通れたかどうかで結末が分かれることがよく分かる例です。
よくある質問
Q1. 尿比重とは何ですか?
尿の濃さを表す数値です。
ONEでは医師が屈折計で測り、1.025以下なら水分が足りていると判定しています。
数値が高いほど尿が濃い状態を示します。
Q2. 体重が規定内なら試合はできるのでは?
ONEではできません。
公式ルールでは尿比重の基準と体重の両方を満たすことが出場の条件です。
安保選手も2回目の計量では体重が上限を0.2ポンド超えていたと報じられています。
Q3. 不合格だと必ず試合が中止になりますか?
必ずではありません。
制限時間後でも基準を満たす尿を出せば体重計量ができ、両選手の体重が105%以内に収まっていればキャッチウエートを交渉できます。
安保選手はこの尿を出せず、交渉に進めなかったと報じられています。
Q4. 安保選手はペナルティを受けましたか?
安保選手個人への処分は発表されていません。
ルール上、失格した側はファイトマネーの一定割合を相手に渡すと定められていますが、今回の扱いは公表されていません。
Q5. 冒頭の考察は確定した情報ですか?
いいえ。編集部の予想です。
ONEが基準を見直すかどうかは、今後の公式発表で確認する必要があります。
まとめ
ONEのハイドレーションテストは、水抜きによる危険な減量を防ぐための入口の検査です。
体重を量る前に尿比重1.025以下を確かめるため、体重が合っていても出場できないことが起こります。
安保選手の試合中止は、その仕組みが最も厳しい形で表れた例でした。
本人が予告した医療機関での検査結果と、ONEの対応に注目が集まります。

コメント