【先に答え】この会社、国の表彰を続けて2つ受けています。
1つ目が第54回日本農業賞・個別経営の部の大賞。
2つ目が第64回農林水産祭の内閣総理大臣賞(園芸部門)。
いずれも山梨県で初という枕詞がつきます。
番組表の説明はあっさりしていますが、中身は国が2度みとめた経営です。
放送は8月30日(日)午前3時30分、TOKYO MX「日本のチカラ」。
代表は飯野公一さん、放送時点で66歳です。
- 第54回日本農業賞・個別経営の部で大賞
- 主催はJA全中とNHK。県からの大賞は初
- 第64回農林水産祭で内閣総理大臣賞(園芸部門)
- 県内の果樹経営体としては初
- 評価されたのは省力化・労力分散・環境配慮
- 過去にも山日YBS農業賞や全国コンクールの優秀賞
- 栽培は桃・ぶどう・柿で24ヘクタール
- 放送は8月30日(日)3:30・TOKYO MX
- 2つの賞の格と仕組み
- 公表されている受賞理由
- ここまでの表彰の並び
- 連続受賞になった理由の予想
賞の名前を並べただけでは、どのくらい難しいのか伝わりません。
まずはどんな仕組みで選ばれるのかから見ていきます。
その前に当ブログの予想を置いておきます。
【予想】性格の違う2つの賞に、同じ1つの答えが刺さったとみる
ここからは当ブログの予想です。
賞ごとに戦略を変えたのではなく、省力化という1本の柱が両方の審査軸を同時に満たしたのではないかと考えています。
賞に合わせに行ったのではなく、経営の形が結果的に両方へ届いたという見立てです。
根拠を10個挙げます。
根拠その1。日本農業賞の理由が3つとも同じ根です。
「耕作放棄地の活用」「極めて高い労働生産性」「徹底した労働環境の整備」。
言い換えれば全部時間あたりの成果の話です。
根拠その2。農林水産祭の講評も同じ入口です。
山梨県の発表の第1項は「徹底した省力化と労力分散による大規模果樹経営の実現」。
2つの賞が同じところを見ています。
根拠その3。環境という別の項目もあります。
第2項は「環境配慮型農業」で、農薬散布の削減と化学肥料由来窒素ゼロが挙がっています。
省力化と環境が別々の努力になっていないのがポイントです。
根拠その4。草生栽培が両方に効きます。
公式サイトによれば草を生やす管理でCO2排出を抑えています。
除草の手間が減り、同時に環境評価も取れる。一挙両得の選択です。
根拠その5。認証を先に取っています。
やまなしGAPが2017年、4パーミルイニシアティブ認証が2021年。
受賞のために急ごしらえしたのではなく、長い準備があります。
根拠その6。地域への貢献が数字で言えます。
作れなくなった農地を300か所以上引き受けています。
「遊休化を防いだ」は、審査で説明しやすい見える貢献です。
根拠その7。人を育てた実績もあります。
研修生を20名超受け入れ、3名が新規就農しました。
県も特徴として「積極的な研修生の受け入れ」を書いています。
根拠その8。24haという数字が単独で伝わります。
県は「国内果樹産業では類を見ない」と表現しました。
説明の要らない数字は、審査でそのまま効きます。
根拠その9。農林水産祭は勝ち残りから選び直す仕組みです。
県の説明では、過去1年に農林水産大臣賞を受けた453点の中から選ばれます。
つまりすでに評価された中での再選抜で、前年の実績が土台になります。
根拠その10。働き方が最後の差になったとみます。
週休2日と育休のある果樹経営は多くありません。
数字の大きさに労働環境という別の軸が乗ったことで、他との違いがはっきりしたはずです。
まとめると、1つの設計が2方向へ効いた結果。これが当ブログの予想です。
公開資料からの推測であり、審査の内部を知る立場からの説明ではありません。
2つの賞を並べて比べる
名前は似ていますが、主催者も選び方も別ものです。
表にすると違いがはっきりします。
| 比べる点 | 日本農業賞 | 農林水産祭 |
|---|---|---|
| 主催 | JA全中・NHK | 農林水産省・日本農林漁業振興会 |
| 受けた賞 | 個別経営の部 大賞(第54回) | 内閣総理大臣賞(第64回・園芸部門) |
| いつから | 毎年開催 | 昭和37年から |
| 選考 | 全国の農業者・営農集団から | 1年間の農林水産大臣賞453点から |
| 位置づけ | 個別経営の部の最高位 | 三賞のうち天皇杯に次ぐ |
| 初記録 | 山梨県からの大賞が初 | 県の果樹経営体として初 |
農林水産祭の三賞は天皇杯・内閣総理大臣賞・日本農林漁業振興会会長賞という並び。
式典は毎年11月23日に明治神宮会館で開かれます。
つまり内閣総理大臣賞は、この世界で2番目に高い賞ということになります。
▼ 受賞産地の桃はこちらから
※産地や品種で味わいが変わります。詳細はリンク先をご覧ください。
何が評価されたのか(公表分)
受賞理由はどちらも公表されています。
表現は違っても、指しているものは重なっています。
| 賞 | 公表された理由 |
|---|---|
| 日本農業賞 大賞 | ①耕作放棄地の活用 ②極めて高い労働生産性 ③徹底した労働環境の整備 |
| 内閣総理大臣賞(1) | 徹底した省力化と労力分散による大規模果樹経営(低樹高仕立て・省力的な房作り・雇用労力の活用で24ha) |
| 内閣総理大臣賞(2) | 環境配慮型農業(農薬散布回数の削減・化学肥料由来窒素ゼロ・やまなしGAP認証) |
個人的に驚いたのが化学肥料由来窒素ゼロという記述です。
果樹で窒素を化学肥料に頼らないのは、そう簡単ではありません。
公式サイトには有機肥料中心の土作りと、剪定枝を炭にしたりチップにして土に戻す取り組みが書かれています。
これまでの表彰をたどる
いきなり国の賞に届いたわけではありません。
公式サイトの沿革を見ると、順番があります。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2012年11月 | 山日YBS農業賞(県のレベル) |
| 2017年11月 | やまなしGAP認証 |
| 2018年2月 | 全国果樹技術経営コンクール優秀賞(全国のレベル) |
| 2021年10月 | やまなし4パーミルイニシアティブ認証 |
| 2025年 | 第54回日本農業賞 大賞 |
| 2025年11月 | 第64回農林水産祭 内閣総理大臣賞 |
県 → 全国 → 国という階段になっています。
2012年から数えると13年。急に出てきた会社ではありません。
Q&A
Q1. 日本農業賞の受賞はいつ?
資料で書き方が分かれます。公式サイトの沿革は令和7年1月、山梨県は令和6年度、JA南アルプス市は授賞式を2025年3月19日としています。受賞決定が1月、式が3月という順で、食い違いではありません。
Q2. 内閣総理大臣賞ってどのくらいの賞?
農林水産祭の三賞は天皇杯・内閣総理大臣賞・日本農林漁業振興会会長賞で、上から2番目です。過去1年に農林水産大臣賞を受けた453点から選ばれます。
Q3. 「県で初」というのは何が初なの?
2種類あります。日本農業賞は山梨県からの大賞が初(JA南アルプス市)。農林水産祭は県の果樹経営体による内閣総理大臣賞が初(山梨県)。指しているものが違うので、どちらも間違いではありません。
Q4. 決め手は何だったの?
共通するのは省力化です。低樹高仕立てや省力的な房作りで作業時間を縮め、品目と品種の組み合わせで忙しさを分散。そのうえで24ヘクタールという規模を成り立たせている点が挙げられています。環境配慮と耕作放棄地の活用も評価対象でした。
Q5. 「化学肥料由来窒素ゼロ」って?
山梨県の受賞理由にある表現で、窒素分を化学肥料から与えていないという意味です。公式サイトには有機肥料中心の土作りと、剪定枝の炭化・チップ化による土壌処理が記されています。
Q6. 天皇杯は獲っていないの?
第64回農林水産祭の園芸部門で受けたのは内閣総理大臣賞です。天皇杯については山梨県の発表に記載がないため、この記事では触れません。
Q7. 放送日時は?
2026年8月30日(日)午前3時30分〜4時00分、TOKYO MX。回タイトルは「育休・大型連休あります〜山梨発!くだもの生産法人の農業改革〜」で、制作は山梨放送です。
放送での扱いを予想する
受賞歴が大きく扱われる可能性はあまり高くないとみています。
番組情報の主題は労働環境で、賞は「全国から注目を集め」という一節に添えられているだけだからです。
映るのはむしろ、賞の裏づけになったふだんの作業のほうでしょう。
今シーズンの桃は130トンが目標とされています。
受賞歴はこの先も増えるかもしれません。
この記事は放送前の公表資料をもとにしており、番組の内容を保証するものではありません。
おさらい
M.A.C.Orchardが受けたのは第54回日本農業賞 個別経営の部 大賞と第64回農林水産祭 内閣総理大臣賞(園芸部門)。
どちらにも山梨県で初という記録がついています。
評価の軸は省力化と労力分散、それに環境配慮と耕作放棄地の活用。
2012年の県内表彰から13年かけて積み上げた結果です。
1つの設計が2方向に効いた、というのが当ブログの予想です。
放送は8月30日(日)午前3時30分・TOKYO MX。深夜なので録画をどうぞ。

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