【結論】70種以上という数は、1人で潜って集めた数ではありません。
- 記載した新種は70種以上(ラボ公式サイト)
- 採集地は南極・熊野灘・佐渡島とバラバラ
- 共著者は大学・研究所・水族館にまたがる
- 扱う動物門は4つ(環形・節足・扁形・刺胞)
- 所属は名古屋大学 菅島臨海実験所(講師)
- 登場は8月9日(日)23時30分のサイエンスZERO
- 70種がどうやって積み上がるかの予想
- 採集地と共著者の顔ぶれ
- 「記載」という作業の中身
- 受賞歴と学会での位置
- サイエンスZEROの放送日時
「新種を70種以上」と聞くと、
秘境を歩き回る探検家を想像します。
でも記載された種の採集地を並べると、
本人がその場にいたとは限らないことが見えてきます。
【予想】強みは「探す力」ではなく「引き受けて書き切る力」
ここからは編集部の予想です。
先に言ってしまうと、この人の強みは新種を探す力ではなく、他人が持っている標本を引き受けて論文として書き切る力ではないかと考えています。
予想1:採集地に一貫性がない。
南極・昭和基地の西(1981年採集)、
三重県沖の熊野灘、
佐渡島の淡水域。
この3か所は気候も水質も深さもまったく違います。
1人の研究者が自分の足だけで
これを全部カバーするのは現実的ではありません。
とくに南極の標本は
1981年に採られた40年以上前のものです(国立極地研究所)。
採集者と記載者が
別人であることが前提の仕事だと予想します。
予想2:共著者の顔ぶれが毎回入れ替わる。
南極の報告では国立極地研究所と北海道大学、
熊野灘の報告では東京大学・鳥羽水族館・三重大学。
研究室の固定メンバーではなく、
標本を持っている側とその都度組んでいる形に見えます。
水族館の学芸員が共著に入る例は
そう多くありません。
大学の外にある標本にも
手が届いているということです。
この人脈そのものが
数字を支えていると予想します。
予想3:4つの動物門を扱う=断らない体制。
ラボの公式サイトによると、
多毛類のほかにシダムシの仲間(節足動物)、隠吻類(扁形動物)、ハナギンチャク類(刺胞動物)も扱っています(菅島臨海実験所ラボサイト)。
持ち込まれた標本が
専門外だからと戻されるなら、
そこで話は終わります。
受け皿が広いほど、持ち込みは増える。
4つの門にまたがる構えは、
入口を広げるための設計だと考えます。
ただし本人がそう述べたわけではなく、
公表資料からの推測です。
予想4:臨海実験所という場所そのものが効いている。
現在の所属は名古屋大学 菅島臨海実験所。
臨海実験所は、
他大学の実習や共同研究の受け入れ先になる施設です。
つまり人と標本が外から入ってくる場所に
常駐していることになります。
自分から探しに出なくても、
「これ何ですか」と持ち込まれる側に回れる。
南極から名古屋大まで移ってきた経歴を見ると、
採集現場に出続けるのではなく、
標本が集まる位置に座るという選択に見えます。
これも公表資料からの読みで、
本人の意図とは限りません。
ここまでは予想であり、
研究の進め方が公式に説明されているわけではありません。
番組でこの話題に触れるかどうかも
放送前には分かりません。
記載種の採集地を並べてみる
| 和名 | 採集地 | 発表 |
|---|---|---|
| フジキブクレハボウキ | 南極・昭和基地西方(水深9m) | 2017年 |
| イッスンボウシウロコムシ | 三重県沖・熊野灘の深海 | 2021年 |
| カワスナゴカイ | 佐渡島の淡水域 | 2026年 |
極地、深海、川。
共通点は「水がある」ことだけです。
ふつうの研究者なら
どれか1つに絞ります。
「記載」は思っているより事務作業に近い
新種を見つけた、と気づくところまでは
実は序盤です。
そこから長い机の作業が始まります。
- 体の部位をひとつずつ計測する
- 近い種の過去の記載を全部集める
- 違いを表にして比較する
- 標本図を描き、写真を整える
- 学名を決め、査読に出す
古い記載はラテン語やドイツ語のこともあり、
読み込むだけで時間が飛びます。
ここで力尽きると、
標本は棚に戻されるだけ。
書き切れるかどうかが最大の関門です。
学会からの評価も続いている
- ブルーアースシンポジウム2016 若手奨励賞
- 日本動物分類学会 奨励賞(令和5年度)
- 日本動物分類学会 若手論文賞(令和7年度)
数を出しているだけなら
論文賞までは届きません。
1本ずつの中身も評価されていると読めます。
よくある質問
Q1. 70種以上は正確な数ですか?
ラボの公式サイトの
「今まで70種以上の新種を発見・記載」という記述によります。
内訳や正確な総数は公表されていません。
Q2. 全部ゴカイの仲間ですか?
専門は多毛類ですが、
節足動物・扁形動物・刺胞動物にも
取り組んでいると記されています。
すべてが多毛類とは限りません。
Q3. 自分で南極に行ったのですか?
フジキブクレハボウキの標本は
1981年1月16日に採集されたものです。
本人の研究歴よりずっと前の標本で、
南極観測が持ち帰った資料を調べた成果です。
Q4. どこに所属していますか?
三重県鳥羽市の菅島にある
名古屋大学 菅島臨海実験所の講師です。
2023年4月から現職とされています。
Q5. 番組では何が語られますか?
タイトルは
「医療・防災・脳の解明につながる!?ゴカイスーパーパワー」。
個別の種名は予告に出ておらず、
内容の詳細は放送前には不明です。
まとめ
自見直人さんの新種は70種以上。
採集地は南極・熊野灘・佐渡島とばらばらで、
共著者も研究所・水族館・複数の大学にまたがります。
数字の裏にあるのは、
他人の棚にある標本を引き受け、論文まで書き切る作業。
放送は8月9日(日)23時30分・Eテレです。

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