【結論】「聞こえない子の将来の収入は少なく見積もるべき」という主張に対し、大阪高裁は2025年に「減額なし」と判断しました。この裁判の最後の法廷に立った一人が、久保陽奈さんです。
10月6日(火)夜11時9分からのフジテレビ「陽だまりのとき」は、
耳が聞こえにくい弁護士・久保陽奈さんの回です。
番組表の紹介文には出てきませんが、
久保さんは社会の注目を集めたある裁判に関わっていました。
むずかしい言葉をできるだけ使わずに紹介します。
- 亡くなったのは聴覚支援学校の小学5年生
- 相手側は「聞こえる女性の4割で計算を」と主張
- 1回目の判決は85%、2回目の判決で100%に
- 久保さんは2度の最終弁論で意見を述べた
- 「逸失利益」ってなに?
- 裁判の流れを年表でチェック
- 久保さんが法廷に立った2つの日
- この判決が大事だと言われる理由
【予想】この判決は、これからの「障害のある子の裁判」の物差しになっていく
ここからは編集部の予想です。
大阪高裁のこの判決は、障害のある子どもが事故で亡くなったときの賠償を考えるうえで、今後の裁判で何度も引き合いに出される「物差し」になると予想します。
そして久保さんは、その意味を語る当事者の一人であり続けると思います。
根拠は7つです。
根拠1。「全国初」とみられる判断だったからです。
時事通信によると、原告側の弁護団は、障害のある子の逸失利益で全労働者の平均と同じ額を認めた判決は全国初とみられると説明しました(時事ドットコム)。
初めての判断は、後の裁判で必ず参照されます。
根拠2。判決がそのまま確定したからです。
相手側は上告せず、2025年2月5日に高裁判決が確定しました(大阪聴力障害者協会)。
最高裁で覆る余地が残らなかったことで、判断の重みが増しています。
根拠3。1回目と2回目で、理由の立て方が正反対だったからです。
地裁は「聞こえる人との差がある」ことを理由に85%としました。
高裁は、合理的配慮や法律の整備、社会の考え方の変化によって、働く年齢になるころには同じように働ける環境があると見ました。
「本人の障害」でなく「社会の側の変化」を見るという考え方が、ほかの事件にも広がりやすいと考えます。
根拠4。被告側の最初の主張が、あまりに低かったからです。
最初に示されたのは「聞こえる女性の40%」という数字でした。
そこから85%、100%へと変わった流れは、社会の見方がどう変わったかを示す例として語り継がれやすいはずです。
根拠5。当事者の弁護士が、法廷の最後に2度立ったからです。
支援団体の記録では、久保さんは2022年11月28日の地裁の結審と、2024年9月3日の高裁の結審で意見を述べています。
「聞こえにくい人が実際に弁護士として働いている」という事実が、法廷の中にありました。
根拠6。久保さん自身が、今もこの裁判を語っているからです。
2026年5月には、自分の半生とこの訴訟の舞台裏を語る動画が公開されました(脳フェスチャンネル)。
語り手がいる判決は、忘れられにくいと考えます。
根拠7。久保さんが、もともと「仕組みで変える」ことを訴えてきたからです。
2019年の講演で久保さんは、困りごとの責任は本人ではなく社会の側にあるという「社会モデル」の考え方を紹介していました(ログミーBusiness)。
判決はまさにその考え方と重なっています。
7つを合わせると、この判決はこれからの裁判の「基準の一つ」として生き続けると予想します。
ほかの裁判でどう扱われるかは、事件ごとに違います。あくまで予想です。
そもそも「逸失利益」ってなに?
逸失利益とは、事故で亡くならなければ
将来働いて得られたはずのお金のことです。
子どもの場合は、平均的な賃金をもとに計算するのが一般的です。
この裁判では、亡くなった女の子に聴覚障害があったことから、
「どの賃金を基準にするか」が大きな争いになりました。
年表で見る裁判の流れ
| いつ | なにがあった |
|---|---|
| 2018年2月1日 | 大阪府立生野聴覚支援学校の前で重機事故 |
| 2022年11月28日 | 地裁の最終弁論に久保さんが立つ |
| 2023年2月27日 | 地裁の判決は85% |
| 2024年9月3日 | 高裁の最終弁論に久保さんが立つ |
| 2025年1月20日 | 高裁の判決は100% |
| 2025年2月5日 | 判決が確定 |
亡くなったのは、当時小学5年生だった井出安優香さん。
ご両親が、運転手と建設会社を相手に裁判を起こしました。
報道によると、賠償額は1回目の約3700万円から、2回目で約4300万円になりました。
久保さんと、この裁判
ご両親を支えた弁護団には、
聞こえない・聞こえにくい弁護士も加わっていました。
久保さんはその一人として、地裁と高裁の最後の法廷で意見を述べています。
法廷で話した具体的な言葉は、公開されている記録には載っていません。
久保さんは東京の第一中央法律事務所の弁護士で、
高校生のころから難聴が始まり、4回目の司法試験で合格した人です。
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気になるQ&A
Q1. 番組でこの裁判の話は出る?
番組表の紹介文には書かれていないので、分かりません。
Q2. 「100%」は何の100%?
平成30年の全労働者の平均賃金を、減らさずにそのまま基準にしたという意味です。
Q3. 最高裁までいった?
いいえ。相手側が上告しなかったため、高裁の判決で確定しました。
Q4. 放送はいつ?
フジテレビで10月6日(火)夜11時9分〜11時15分です。
おわりに
「聞こえないから、将来の収入は少ない」という考え方に、
裁判所は「減らす理由はない」と答えました。
その法廷で、聞こえにくさを抱えながら働く久保陽奈さんが意見を述べていたことは、覚えておきたい事実です。
「陽だまりのとき」は10月6日(火)夜11時9分から。短い番組ですが、久保さんの今の姿が見られそうです。

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