【結論】今夏の甲子園からビデオ検証が初めて導入されました。申し出は各チーム9イニングで1回まで、ストライク・ボールの判定は対象外です。
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- 第108回大会からビデオ検証を初導入
- 申し出は各チーム9イニングで1回(延長は別に1回)
- ストライク・ボールの投球判定は対象外
- 8月7日には審判4人の協議で判定が覆った場面があった
- 制度づくりは2024年9月のワーキンググループから
今大会の甲子園には、判定を直す仕組みが2つあります。
ひとつは新しく入ったビデオ検証、
もうひとつは審判同士の協議です。
この2つは使われ方も、始まり方も違います。
【考察】ビデオ検証があるのに、8月7日は協議で覆った理由をどう読むか
ここからは編集部の予想です。
ビデオ検証が入っても、実際に判定を直す場面の多くは今後も審判同士の協議で片づくと読みます。
映像は最後の手段として残る形になるはずです。
1つ目の理由は、回数に上限があることです。
ビデオ検証の申し出は各チーム9イニングで1回まで(延長は別に1回)と決まっています(日本高等学校野球連盟)。
9イニングにつき1回しかない申し出を、
序盤の1点で切る判断は簡単ではありません。
結果として、使われずに終わる試合のほうが多くなると考えます。
2つ目は、申し出るのがチーム側だという点です。
ルール上はプレイが一段落した後、伝令を出して球審に申し出る手順になっています。
つまりベンチが気づいて動かないと始まりません。
8月7日の場面では、判定した審判自身の申し出から協議が始まりました。
気づく人がその場にいた分だけ、先に決着したと私は読みます。
3つ目は、8月7日に実際に起きたことです。
有明―立命館宇治の6回、二塁塁審が一度アウトと宣告した判定が、
4人の審判の協議で覆ってセーフになりました(高校野球ドットコム)。
報道に残っている経緯は協議であり、
ビデオ検証が使われたという記載はありません。
ここが、私が「協議が主で映像が従」と読む根拠です。
4つ目は、訂正を求めたのが判定した本人だったことです。
二塁塁審の佐藤加奈さんは「私がミスをしてしまった。(自ら)判定を変えて欲しいと他の方にも相談をした」と話しています。
審判の側に自分から直しにいく回路があるなら、
チームが1回きりのカードを切る前に決着します。
5つ目は、対象プレイとの関係です。
8月7日の場面は送球を受けた野手が完全に確保できたかどうかで、
公表されている対象一覧のフォースプレイに当たる種類のプレイでした。
つまり制度上はビデオ検証を申し出られる場面だったことになります。
それでも協議で先に決着したという事実が、
2つの仕組みの速さの差を示していると私は見ています。
この読みが外れるとすれば、終盤の1点を争う場面が増えたときです。
勝敗に直結する局面では、
ベンチが迷わず申し出るようになる可能性があります。
判断の目安は1大会で申し出が二桁に届くかどうかで、
そこを超えたら私の読みは外れたことになります。
連盟が使用回数の実績を公表した資料は確認できていません。
あくまで予想であり、断定ではありません。
ビデオ検証の対象になるプレイ・ならないプレイ
日本高野連が公表している内容を整理します。
すべての判定が対象ではありません。
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 本塁打・エンタイトルツーベースの可能性がある打球 | ストライク・ボールの投球判定 |
| フォースプレイ、タッグプレイ | 反則投球、ハーフスイング |
| 外野手のキャッチ/ノーキャッチ | ファウルチップ、ボーク |
| 一塁・三塁塁審より後方の打球のフェア/ファウル | インフィールドフライ |
| 走者の追い越し、塁の空過、リタッチ、タイムプレイ | 妨害の一部 |
| ヒットバイピッチ、タッチ/接触に関わるプレイ | — |
いちばん誤解されやすいのがストライク・ボールが対象外という点です。
投球そのものの判定は、
映像で見直す仕組みの外に置かれています。
ルールを追いながら観戦したい人には、
手元に規則の本があると理解が早くなります。
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※版によって収録内容が異なります。リンク先でご確認ください。
申し出のルールは「9イニングで1回」
検証を始めるのは審判ではなくチームです。
手順はプレイが一段落した後、速やかに伝令を出して球審に申し出ると定められています。
- 各チーム9イニングで1回
- 延長に入った場合は別に1回
- タイミングはプレイが一段落した後
- 伝える相手は球審
回数が限られているため、どこで使うかがそのまま作戦になります。
公表資料では対象プレイが細かく列挙されているため、
使える場面かどうかを先に見極める必要があります。
8月7日に協議で覆った判定の中身
実際に判定が変わった場面を、報道で確認できる範囲でたどります。
試合は2026年8月7日の有明(熊本)―立命館宇治(京都)、
結果は6-3で有明でした。
| 場面 | 6回裏 無死一塁 |
| プレイ | 犠打で三塁手が二塁へ送球、遊撃手が取りこぼす |
| 最初の判定 | 二塁塁審がアウトを宣告 |
| 訂正の経緯 | 審判4人の協議でセーフに変更 |
| 再開の状況 | 無死一・二塁 |
球審は「サードが受けて二塁へ転送しましたが、セカンドの方が完全に確保出来ませんでしたので、セーフとします」と説明しています。
そして二塁塁審の佐藤加奈さんは「私がミスをしてしまった。(自ら)判定を変えて欲しいと他の方にも相談をした」と話しました。
制度ができるまでの流れ
ビデオ検証は今大会に合わせて急に決まったものではありません。
公表されている経緯は次のとおりです。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2024年9月 | ワーキンググループ発足 |
| 2024年11月 | 特別規則案をまとめる |
| 2024年12月 | 理事会で中間報告 |
| 2026年4月 | 理事会で規則を承認 |
| 2026年6月28日 | 甲子園で練習会 |
| 2026年8月5日 | 大会開幕 |
ワーキンググループの発足から開幕まで、およそ2年かかっています。
規則の承認が2026年4月、
甲子園での練習会が同年6月28日でした。
本番の前に現場で試す段取りまで踏んでいます。
甲子園のビデオ検証についてのQ&A
Q1. ビデオ検証はいつから始まりましたか?
第108回全国高校野球選手権からです。
大会の開幕は2026年8月5日。
規則の承認は2026年4月の理事会で、
その前に2024年9月からワーキンググループが動いていました。
Q2. ストライクの判定も見直せますか?
できません。
ストライク・ボールの投球判定は対象外です。
ほかにも反則投球、ハーフスイング、ファウルチップ、ボーク、インフィールドフライなどが対象から外れています。
Q3. 誰が検証を申し出るのですか?
チーム側です。
プレイが一段落した後、伝令を出して球審に申し出る手順になっています。
回数は9イニングで1回、延長では別に1回です。
Q4. 8月7日の判定はビデオ検証で変わったのですか?
報道で確認できるのは審判4人の協議で覆ったという経緯です。
ビデオ検証が使われたという記載はありません。
判定した本人が自ら訂正を求めたと説明されています。
Q5. 協議とビデオ検証はどう違うのですか?
始め方が違います。
ビデオ検証はチームの申し出が必要で、
回数の上限も決められています。
8月7日の協議は判定した審判自身の申し出から始まりました。
Q6. この記事の考察は連盟の説明ですか?
いいえ、編集部の予想です。
連盟が使用回数の実績を公表した資料は確認できていません。
公表されているルールと報道から読み取った見立てです。
今後の見通し
注目したいのは実際に何回使われたかです。
大会が終わった段階で件数が出れば、
利用状況を測るひとつの手がかりになります。
もう1つは地方大会への広がりです。
毎日新聞は、地方大会について撮影機材が十分でない会場もあり、操作する人員も必要なため段階的な導入方針だと伝えています(毎日新聞)。
全国大会と予選で条件が違う状態は、しばらく続くことになります。
まとめ
- ビデオ検証は第108回大会から初導入
- 申し出は各チーム9イニングで1回
- ストライク・ボールは対象外
- 8月7日の訂正は審判4人の協議によるもの
- 制度づくりは2024年9月から進んでいた
判定を直す道が増えたことより、
どの道が実際に使われたかのほうが、制度の性格をよく表します。
今大会で分かったのは、まず審判同士が動いたという一例です。
件数が出そろったところで、もう一度見直したい話題です。

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